自分の本当の姿を知られたくない。彼女はそう思っている。なぜなら自分の本当の姿はとても弱く、内向的で、醜い性格をしているからだ。そんな姿を他人に見られるくらいなら、死んだほうがましだ。だから彼女は明るい髪の色でギャルメイクをして小麦色の肌に焼き、外見を繕うことで、他人から見られる自分を武装している。言わば外に出るときの彼女は、戦闘態勢なのだ。高校に入学してから彼女はこのスタイルを作っていった。小さい頃の自分、好きじゃない自分を変えたくて、属する集団をギャルの集団にすることにした。最初の一言は非常に緊張していたのを覚えている。それこそ、ここでこれからの人生が決まる一大場面なのだ。考えぬいた言葉はとても陳腐なものだったがそのグループは予想に反し、優しく迎えてくれた。それからいろいろなことを学び、自分を武装することを身に着けていった。初めての体験も早いほうがいいと言われ、街で知らない人に声を掛けられそのままホテルに行き済ませた。痛かったが、みんなと同じになれた喜びの方が大きかった。それから毎日のように同じこと繰り返し、いろいろな人とカラダを重ね、さらに自分をレベルアップさせていった。ふと独りになったとき、虚しさが込み上げてくることもある。それは紛れも無い本心だし、隠す必要もないと思った。でもそれでも、今は過去より遙かに楽しいと自信を持って言える。それが彼女のアイデンティティであり、意地でもあった。これからもこのスタンスを崩すことはない。いつか本当に恋をして、家庭を作りたいと思う日がくるのだろうな。という漠然とした感慨はあるのだが、それはその時に考えればいいのだと思う。毎日、毎時間、毎分、自分が一番楽しいと思うことを常に探し続けていく。そうして彼女は今日も見知らぬ男に抱かれる。今日はお金も貰える撮影だ。これでお金貰えるのなら天職かもしれないな!彼女はそう思った。
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